2013年03月23日

『トランプを引いて元素名を言う謎の遊び』についての考察《結論》


前々回、前回と、
『トランプを引いて元素名を言う謎の遊び』についての記事を書いています。
このゲームのルールを確認する場合は前々回を。
議論の流れが気になる方は前回も合わせてご覧ください。

前々回:『トランプを引いて元素名を言う謎の遊び』についての考察《序文》
前回:『トランプを引いて元素名を言う謎の遊び』についての考察《本論》




謎の遊びについての記事。ラストです。
(今までが長かったので、今回はさらっと流します…!)

前回までで、
『103個の元素を対象にしてるけど、103番目の元素は出ない。
 しかし、残りの102個の元素は間違いなく出現し得る』

という事実がわかりました。

では、各元素の出現確率はどうなっているのでしょう?
今回はそこに注目してみようと思います。

確率を出す目的は
『"もし、このゲームを巻き込まれた際に、
 どの元素名を言えば当たりやすいか"を探る』こと!

出やすい元素を事前に知っていれば、
いつ、このゲームに巻き込まれても、
化学と計算が得意なプレイヤーと渡り合えますからね!
(ニッコリ)
(そんな事態の発生率自体が低すぎる気もするけど!)


それを知るために重要な、このゲームにおける各元素の出現確率は…こちら↓!

出現確率
このゲームにおける各元素の出現確率
(縦軸が確率(%)。横軸が原子番号。)
【クリックで原寸大表示】


グラフを見ると、確かに元素によって出現率がまちまちではあるのですが…。
一番確率が高い『塩素』でようやく2.03%という結果になりました。

対象の元素は102個あるため、
均等に元素が出現すると仮定すれば各元素の出現確率は1%弱となりますから、
その2倍以上の確率である『塩素』は確かに高い確率ではあるのですが…。
『塩素』と言えばゲームに勝てる、とは言い難いですね。ちょっと残念です。

しかし、このことは一つの事実を示していまして。

『適当に考えたと思われる(失礼)このゲームのゲーム性が意外と高い』
ということができます。

どういうことかというと、
各元素において確率の大小はあるとはいえ、高くても2%程度なので、
勘で回答するわけにはいかない、ということです。
事前に確率が高い元素を推測する、という方法がほぼ無意味であり、
結局、計算して原子番号を求め、対応する元素を言うしかない…。わけですね。

なので、このゲーム。
事前予測によるズルはなし!なのです!





…以上、3回にわたってお送りした、この謎のゲーム特集。

結論としては、このゲーム、
『敷居の高さもさることながら、
 事前推測を許さない、深さを持ったゲームである』

ということができるでしょう。


また、これを考えた人たちがどういう人たちなのか…?
それは想像することしかできませんが、
かなり恐ろしいセンスと知識を持った方たちなのだと思います。

そんな人じゃないと、こんなゲーム考案しませんよ、ええ。


ホントに恐ろしい限りですね…っ!
posted by Hybrid at 02:50| Comment(0) | 数学遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月13日

『トランプを引いて元素名を言う謎の遊び』についての考察《本論》

前回から、
『トランプを引いて元素名を言う謎の遊び』についての記事を書いています。
(前回見たけど、その遊びって何だっけ?)と思われた方、
前回をご覧になっていない方は前回の記事をご覧下さい。




今回はまず、前回の問題1-1.の解答・解説から始めますね。


問題1-1.ルール5.として『余りが0ならば103番元素の元素名を言う』というルールを書きましたが、
このルールは【このゲームにおいて適用されることはありません。】
その理由を考えてみてください。

【解答例】
 103が13より大きい素数だから

【解説】
 解答の書き方について、細かく説明しろだのなんだの指示をしていませんでしたので、
 解答としては上記のもので大丈夫です。
 
 さて、では解説をしていきましょう。

 この問題1-1.を少し言い換えると、
 『トランプを3枚引き、3枚のトランプに書かれてる3つの数の積を103で割った場合、
  余りが0になることはあり得ない。それを証明せよ。』
 というものになりますね。
 
 まず、『余りが0である』ということは、『割り切れることを意味する』ので、
 この問題は『3つの数の積が103の倍数になるかどうかを考える問題』とも言えます。
 
 ここでひとまず、103という数に注目します。
 103という数は素数です。
 素数とは"自然数のうち、1と自分自身以外の自然数で割り切れない数"。
 別の言い方をすると、"自分自身よりも小さい自然数の積では表せない数"となります。
 (例えば、6は2×3と表すことができます。これは6が素数ではない数(合成数)だからです。)
 そして、トランプに書かれてる数は13以下の自然数ですから、
 トランプに書かれてる数はもちろん、素数である103よりも小さい数になりますね。
 
 『103は素数である』、『素数は自分自身よりも小さな自然数の積では表せない』
 そして、『トランプに書かれてる数は103よりも少ない』。
 これら3つの事実を組み合わせると、
 トランプに書かれてる数をいくらかけても103にはならないことがわかります。
 また、103の倍数は『103に何か自然数をかけた数』のことですから、
 掛け算で103が作れないのであれば、103の倍数も作ることはできません。

 以上のことから、『3つの数の積を103で割っても余りが0になることはない』こととなり、
 これは即ち、
 今回のゲームで103番元素『ローレンシウム』が登場しない、ということを示しています。



さて。それでは問題1-2.に移りましょう。

ここは今回の話の核になりますので、
問題の解答とともに、今回のテーマの話をしていきますね。



1.このゲームをした場合、全ての元素は出現しうるのか



問題1-1.の解説に書いた通り、
"全て"という部分に関しては既に否定されているのですが。
それ以外の102個の元素についてはどうでしょうか?
出現しうるのでしょうか?

これに関しては、『解析的に解く(※)』ことができませんでした。
どうにかすれば解く方法があるかもしれませんが…。思いつかなかったのです。

(※)『解析的に解く』…数式の変形や理論で問題を解く方法。
            法則を見つける、などがこれにあたる。
            問題1-1.の解説でやったような解き方。


だが、諦めるのはまだ早い!
解析的に解けなけないのならば…!
数値的に解けばいいのですっ!

つまり、
『全部のパターンの掛け算を求めて、全部のパターンを103で割ればいい』。
しかし、そんなもの手計算でする気は起きない…!
さて、どうする…?

だったら、そんなものは計算機に丸投げしてしまえばいいのです。
ちょうどいいことにPCという名の高性能計算機が目の前にあるわけですし…!

というわけで、PCに計算を丸投げするための仕様書である、プログラムを書きました。

作ったプログラムには
『1×1×1から13×13×13までをそれぞれ103で割り余りを求める』機能と、
『その余りの出方を集計することで、余りの出現確率を求める』機能を持たせ、
このプログラムを起動すると、
簡単に『このゲームをした場合、103番元素を除いた102個の元素は出現しうるのか』
を求めることができるようにしたのです。

そして、このプログラムを使った結果…!


『このゲームにおいて、残りの102個の元素は全て出現する』という結論に達しました。
つまり、問題1-2.の答えにして今回の結論は、
『残り102個の元素は全てこのゲームで登場し得る』となります!


本日の更新は以上!
それではまた次回っ!





…え?

「そんな一言じゃ納得できない、ちゃんと102個が登場する証拠を見せろ」


そ、そうですよね。
納得いかないですよね。
では、数値的に解いた、という証拠として
『3数の積を103で割った余りが1から102になる13以下の3数の組み合わせ』を
プログラムに数行加えて出力、表にまとめてPDFに起こしてみました。
表を見て、どうぞ、ご確認下さいませ!

3数の積を103で割った余りが1から102になる13以下の3数の組み合わせの表(PDF)

では、また!
posted by Hybrid at 21:55| Comment(0) | 数学遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月11日

『トランプを引いて元素名を言う謎の遊び』についての考察《序文》

事の発端は、ツイッターでこのようなツイートを目にしたことです。

chem_game.jpg
(クリックで拡大表示します。)


この
『トランプを3枚出してその積を103で割った余りの値の元素をいかに早く言うか』
という遊び。

ツイートされた方の言葉にもありますように、非常にマニアック。
全く以て『一般的には受け入れがたい遊び』であることは間違いないですね。


だが、しかし、だからこそ!


今回はこの遊びを『考察』してみようと思うのです!



考察する内容は以下の通り。

0.このゲームのルールについて(考察の前提)《今回の内容》
1.このゲームをした場合、全ての元素は出現しうるのか《次回更新》
2.各元素の出現確率について《次々回更新》



0.このゲームのルールについて

ツイートの内容により大まかなルールは理解できるのですが、
細かいルールについての記載はありませんでした。
(ツイートした方は『ゲームを見ただけ』なので、
 細かいルールを知らなくて当然なのですが…。)

ですので、このゲームのプレイヤー達が行っていたであろう正確なルールを、
僕たちはこれ以上知ることができません。



ただ、彼らが実際に行っていたであろうルールを『予想』することはできます。
なので、今回はルールをこちら側で『予想』し、
考察についても、予想したルールに基づいて、行っていくもの
とします。


《(予想した)このゲームのルール》
1.ジョーカーを除いた52枚のトランプ(プレイングカード)を用意する。

2.適当に3枚めくり、その3枚を、数字の側を表にして場に出す。

3.場に出された3枚に書かれた数字の積を計算。その計算結果を103で割り、余りを出す。
(便宜上、トランプのA(エース)は1、Jは11、Qは12、Kは13として扱うものとする。)

4.3.の計算で得られた余りと同じ原子番号の元素名を言う。
【補足:つまり計算結果で余りが1となった場合は原子番号1の元素である『水素』と言えばよい。
    同様に余りが2なら『ヘリウム』と言えばよく、3なら『リチウム』となる。】

5.余りが0となった場合。原子番号0の元素は無いので、
便宜上『余りが0ならば103番元素を言う』こととする。
即ち、余りが0の場合は『ローレンシウム』と言えば正解とする。


以上が今回の考察で用いるルールです。
(実際に行われたゲームのルールと大差ないと思われますが、
 どうでしょう…?真実は闇の中ですが。)


ここで『なぜ103で割るのだろう?』という疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが、
これは、一般的な周期表には103番元素『ローレンシウム』までが書かれているからと
予想されますね。
「周期表で元素名を覚えた!」という人たちがこのゲームを考案したと思われますので、
そう考えるのが妥当でしょう。

ちなみに2013年3月現在、正式な元素名は1番から112番までと114番・116番が決まってます。
113番・115番はまだ正式名称が決まっていません。(それぞれ、まだ正式に認定されていません。)
ですから、連続して正式な元素名が決まってるのは1番から112番までとなります。
なので、難易度を上げたい、という方は112で割って余りを求め、
112番までで遊ぶのも一興かと思います!
(僕はやりません!!)



…さて。
ルールを予想し、そのルールを説明するだけで文章が長くなりましたので、
本格的な考察は次回から始めますね。


ここまで読んでいただいた方!ありがとうございます!


ついで、ですが、興味を持っていただいた方を対象に、
次回の考察に関係した『問題』を出しますので
次回の更新(明後日の予定)まで考えてみてくださいね。


【問題】
1-1. ルール5.として『余りが0ならば103番元素の元素名を言う』というルールを書きましたが、
このルールは【このゲームにおいて適用されることはありません。】
その理由を考えてみてください。
1-2. 1-1.より『103番元素の元素名はこのゲームに登場しない』ことがわかりましたが、
【それ以外の102個ある元素名は"全て"このゲームで使われ得る】のでしょうか?
予想してみてください。


それでは、次回を楽しみに!
posted by Hybrid at 02:05| Comment(0) | 数学遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする