2010年10月11日

今回のノーベル賞って何がすごいべ?


 ――綺麗な夜景が見えるホテルのラウンジ。
   貴方はそこに初めて来ています。
   …最愛の彼女を誘って。

彼女「今日の貴方…とっても素敵だわ。」
貴方「そんなことないさ。キミの方が素敵だよ。」
彼女「ありがとう。今の貴方なら何を訊いても素敵な答えが返ってきそうだわ。」
貴方「そうかい?…じゃ、何か質問してごらんよ。」
彼女「そうね、だったら…。」

彼女「この間日本人がノーベル化学賞を受賞したじゃない?あれってどんな研究なの?」

貴方「あ、いや、え?それは、その…。」
彼女「…?ダメなの…?」
貴方「そ、そういうわけじゃなくて…。」
彼女「なーんだ。わかんないんだ。ちぇ。」
貴方(そ、そこまで言わなくても…。)



そんな時ってありますよね!?
(え…!?)
今日の記事はそんな人のためにお送りいたしますよっ!


というわけで、祝!ノーベル化学賞!

本日はノーベル化学賞受賞研究について、私Hybridが記事を書いてみたいと思いますっ。
(というわけで今回は大笑いできるような記事なりませんよ。…いっつもなってないけど…orz。)

…さて。
今回のノーベル賞受賞研究ですが、受賞研究名はこうなってますね。

"for palladium-catalyzed cross couplings in organic synthesis".
(有機合成におけるパラジウム触媒によるクロスカップリングについて。)

……。


こ れ で わ か る か 。


うん、わかんない…ですよね?
そりゃそうです。
これでわかる人ならこの記事いらないですもの。
こんな記事の存在価値なんてゼロですもの。

というわけで、この後は皆様『わからない』という前提の元、話を進めます。

けれども、こうやって訳の分からない文章を眺めてもなにもわからないので…。
とりあえず、研究名の重要な用語を太字にしましょうか。

…えいっ!

有機合成におけるパラジウム触媒によるクロスカップリングについて。

太字にしてみましたっ。
太字にしていないものについては大した意味はありません。そう思ってくださいな。
なので、これからは太字にした語句にのみ説明を加えます。

それでは、説明する単語を取り出してみますね。
・合成
・触媒
・カップリング
という3つの単語。これが重要な単語になります。

ではでは、この3つの単語を説明しましょう。
こいつらが分かれば全貌が見えてきますのでね。

合成・・・ここで、『合成』ってのは2つのモノをくっつけることだと思って下さい。

触媒・・・『触媒』っていうのはその合成を助けてくれる存在です。
 合成の仲立ちをしてくれます。
 
カップリング・・・カップリングというのは皆様が想像するものとほぼ同じです。
 つまり、『カップルを作る』という意味にとってもらって構いません。
 ちなみに化学で『カップリング』と言った場合、
 正確には“大きい分子同士を狙った場所でくっつける”という意味合いになりますよ。

 あ、ついでなんですけど『クロスカップリング』ってのは
 “異なるもの同士を”くっつけるという意味です。
 (ちなみに同じもの同士をくっつけるカップリングは『ホモカップリング』です。
  中学生男子あたりがニヤニヤしそうですが。)

というわけで、以上の3つの単語を統合しましてさらにひねた解釈を加えると、
『触媒という仲人さんがたくさんのカップルになり得る候補の中から
 ある男性とある女性を選んでカップルにする』

というものだとご理解いただければ幸いです。そんなもんでいいです。

ま、でも、この説明じゃ真面目に学ぶ人が凹むので
化学的にもう少しきちんと言えば。
『触媒を用いることで、大きい分子2つの結合を特定の場所へ選択的に、
 しかも簡単に作ることができる反応を見つけた』

ということになります。

大きい分子同士であれば結合を作る場所は山ほどあるわけですが、
その結合する場所を選べる上に反応させる方法もシンプル

というのが今回のノーベル賞受賞研究の偉大なところなのですね。

これによって、大きい分子同士を狙った場所へくっつけることが容易になりました。
そのおかげで色々な高分子の合成が楽にできるようになったのです。
タンパク質の合成なんかもずいぶん簡単になって。
そして、液晶なんかも高分子ですから…。
みなさんが今見てる画面の液晶も、
この反応が見つからなかったらできてないのかも知れないんですよ?
(現に液晶の会社の人が取材に答えてましたね。
 『この反応がなかったらウチの会社は成り立たない』って。)

というわけで。
今回のノーベル賞研究の内容と凄さ…。
わかっていただけたでしょうか?
この文章を見る前と比べて、
少しでも理解が深まっていただけてたら幸いですっ。


それでは皆様、
ホテルのラウンジで彼女に訊かれたら上手く答えて下さいね!
んでは、アディオスっ!

posted by Hybrid at 01:18| Comment(0) | 化学夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする